新NISAと特定口座の使い分け戦略:どっちが得?

 2024年から始まる新NISAは、投資で得た利益に税金がかからないというすごい制度です。一方、特定口座で投資した場合、利益には20.315%の税金がかかります。

一見すると「税金がかからない新NISAの方が絶対いいじゃん!」と思うかもしれませんが、特定口座を使った方が得する場合もあります。

この記事では、どっちが長期投資に有利かを簡単な計算で説明します。投資の年利(1年あたりのリターンのパーセンテージ)を使って比べてみましょう。


1. 新NISAでの投資: 利益は非課税

新NISAで投資すると、得た利益に一切税金がかからないのがメリットです。たとえば、年利がX%だったとします。この年利で投資すると、20年間でお金がどれくらい増えるか、次の式で計算できます。

(1+X)20

たとえば、X = 5% なら、計算はこうなります。

(1+0.05)20=2.65

つまり、20年後には約2.65倍になります。


2. 特定口座での投資: 税金はかかるけど条件次第で得することも

特定口座では、利益に対して20.315%の税金がかかります。だから、年利がB%だったとしても、実際に手元に残るのはちょっと少なくなります。税引き後の年利は次の計算式で求めます。

B×(10.20315)=B×0.79685

たとえば、B = 7% なら、

7×0.79685=5.58

なので、税引き後の実質年利は5.58%です。これを使って20年後のリターンを計算するなら、次の式になります。

(1+5.58

(1.0558)202.94

なので、特定口座では20年後に約2.94倍になります。


3. 特定口座での投資: 20年後に一括利確する場合

一方、毎年利確せずに20年後に一括で利確する場合、リターンの計算方法が異なります。まずは、税金を無視した20年後の増加額を計算します。

(1+B)20

たとえば、B = 7% の場合、

(1+0.07)203.870

これに対して、利益部分にのみ20.315%の税金がかかるため、最終的なリターンは次の通り。

(3.8701)×(10.20315)+13.282

つまり、20年後に一括利確した場合、特定口座では約3.28倍に増えます。


4. 新NISAと特定口座のどっちが得か比べてみよう

ここまでの計算結果をまとめると、次のような比較ができます。

  • 新NISA: 年利5%なら、20年後に約2.65倍
  • 特定口座(毎年利確): 年利7%なら、20年後に約2.96倍
  • 特定口座(20年後に一括利確): 年利7%なら、20年後に約3.28倍

5. 新NISAと特定口座のどっちが得か比べてみよう

次に、特定口座の方が新NISAより得するための条件を計算します。ここでは、計算を簡単にするために毎年利確するものとして計算します。特定口座のリターンが新NISAを上回るには、次の条件が必要です。

(1+B×0.79685)20>(1+X)20

両方の20乗根を取ると、こうなります。

1+B×0.79685>1+X

これをBについて解くと、

B>X0.79685

つまり、特定口座の年利Bが、新NISAの年利X0.79685で割った値以上であれば、特定口座の方が得になるということです。

ここで、「特定口座でどれくらい年利が高ければ新NISAより得になるの?」を考えます。特定口座の年利をB = X + Yと定義して、計算します。

X+Y>X0.79685

これをYについて解くと、

Y>X×0.254

つまり、特定口座の年利が新NISAの年利より約25.4%、1.254倍高い必要があります。

  • 新NISAの年利が5%の場合、特定口座の年利は6.27%以上必要です。
  • 新NISAの年利が7%の場合、特定口座の年利は8.78%以上必要です。

6. 結論:どっちを選ぶべき?

最終的にどちらを選ぶべきかは、あなたの投資スタイルや期待リターン次第です。

  • 新NISAは、安定したリターンを期待する長期投資に非常に適しています。特に税金がかからないため、長期的な資産形成に最適です。
  • 特定口座は、高リスク・高リターンを狙う場合に選択肢として有利です。一括利確を行うことで、税金の影響を最小限に抑えることができるため、リターンが大きくなる可能性があります。

レバナスやS&P500ゴールドプラスのようなレバレッジのかかった商品は新NISAでは投資できませんが、特定口座では投資できます。 自分の投資スタイルに合わせて、うまく使い分けてみましょう。

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